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趣味と日常の記憶、記録

BMW R1200R(2015) ロードスター ど素人インプレッション

※このブログは順次更新していく予定です【最終更新8/29】

※末尾に動画によるR1200Rの解説を追加しました。

 

●はじめに

5月8日に納車されて早3ヶ月。走行距離は3000km程度になりました。これまではただ乗るだけで嬉しいと細かいことまで見えていませんでしたし,高揚感からか,気が付きもしませんでした。今はもう慣らしも終わり,少しずつながらBMWって何なのか,R1200Rってどんなバイクなのかがわかり始めてきたので、「雑誌にはあまり載らないインプレ」っていうやつを心がけて,いっちょインプレッションを書いてみようと思います。

とはいえ,バイクに乗り始めて1年足らずで乗り手としても未熟ですし,ましてメカニック的な知識も疎いので,結局は自分が感じた感覚を簡単に表現するに留まっていて,つまりそれは往々にしてカタログや雑誌などの謳い文句をなぞっただけで,なぜそう感じるのかという理由について表現できておりません。

ので、諸先輩方は「おばかちん」だなあと思いながら「ふ〜ん」と軽く流していただければと幸いです。

 

ロードスターの歴史

「バイク」という趣味性が高いものは、「気に入った。じゃあ買う」と言った直感が購入の決断を左右するというものだと思うのだが(「恋愛」と同じであって,気に入った理由が明確ではないから厄介なのである),僕の場合,この初物尽くしのバイク購入にあたっては,なるべく直感を排し,気に入った理由は何かということを考えて,いくつか並べてみて,それが本当に自分の要求に満たしているのかどうかを吟味して,一応の納得をしてから購入しようと決めていた。だから,ディーラー巡りをし始めてから購入に至るまで2ヶ月程度かかったのもそういうことだ。

 

バイクを買うのにだ,『歴史』なんて観点で買う人がどれだけいるのだろうか。

たとえそのバイクの『歴史』を知ったところで,現代の最新バイクと何十年も前のモデルとを比較できるわけはなく,そのモデルの系譜を知ったところで,無意味な検討ではないかと人は笑うのかもしれない。確かに技術的なことを言えば、昨今の電子制御テクノロジーの進歩はすさまじく数年違えばテイストはまったくの別物であろう。そして,歴代の血統に感じ得るものがあったとしても,それは単なる感傷であり,購入に至る動機となりえるのかと。

 

けれども,と思う。

同一の名前を冠したバイクを数年,数十年作り続けるには訳があるはずだと思うのだ。それは変わるものがある一方で、変わらない何かがあるのではないかと。メーカーがこだわり続ける何かがあるはず,続けなければならない何かがなければならないのだと思うのだ。

しかもBMW。このひねくれ者(笑)は特にそうではないかと。

だから,どんな歴史に裏付けられたバイクなのかを知りたいと思うし,その歴史を理解できなければ買えないと思ったのだ。

 

ロードスター』という名を冠するバイクは、1991年に登場した R 100 R が初めということになろうが,当時は、2バルブ OHV ボクサーエンジンであり、街中や近距離のツーリングに適していたモデルであったようだ。

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(バージンBMWより拝借)

 

1994年登場のR1100Rは空油冷4バルブ+テレレバーを採用しており,フォルムも現行型の元祖といえよう。

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(バージンBMWより拝借)

その後、2001年にR1150Rが,2006年にR1200Rがそれぞれ登場し,2011年モデルを経て,2015年に現行型が誕生することになる。

この間,ボクサーエンジンを搭載した車体レイアウトは,大きく変わることはなかったのだが,現行型は従来のテレレバーを廃し、倒立フォークを採用するに至る。これは電子制御技術に進歩により,従来のBMW伝統のフィーリングをテレレバーならずともダイナミック ESAによって十分賄えると考えたからだろう。

R1200Rに搭載されたボクサーは,歴代的にGSのお下がりであったようだ。だけれども,バイクの原型であるロードスターの成功がBMWを下支えしてきたことはたしかであり,歴代ロードスターの発展とともにBMWは歩んできたと言っても過言ではあるまい。つまり,ロードスターに乗ることは,BMWに乗るということでもあるのだ。

 

●R1200R(2015)の 特徴

2015年3月に登場することとなった新型 R 1200 R は、R 1200 GS/R 1200 RT と同系列の空水冷の DOHCエンジンが搭載されることとなったが,従来のそれらとは異なって,フロントのサスペンション方式をBMW伝統のテレレバーから一般的なテレスコピック式倒立フォークになった。

加えて,最新世代の電子調整式サスペンションであるダイナミックESAの採用されたことにより,テレレバーの特徴であったピッチンングやブレーキング時のノーズダイブを抑える能力を備えることが可能になったというのだが,はてはて、違いのわからない男が乗ってみたところで、豚に真珠にならなければよいがどうであろう。

 

●デザイン

デザインについては、国産には無いデザインセンスが生かされている・・・とDucatiのようになかなか言いづらいところがあるのだが,僕の主観ではR1200Rはカッコイイと素直に言えるデザインなのではなかろうか。それはBMWのラインナップを見てそう思うのかもしれない(お世辞にもGSってどうもね)。購入を検討した数あるバイクの中で,総合力でR1200Rが勝ったのだが,まずはデザインに惚れたというわけで,デザインや外観に関して特に気になるところはない。マンション住まいであるため,地下駐車場に乗りに行くたびに,乗車前にまずは自分のバイクを眺めてニヤニヤしてしまう。

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デザインもさることながら、細部に関する造りも抜かりなく、さすがはドイツ人が造った工芸品だなと感心している。

 

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(ライトホワイト色は,オプションとされるエンジンスポイラーが標準装備される)

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かなりのボリューム感のあるタンクである。タンク中央のカバーは、カラーバリエーションによりステンレスかプラスチックとなる。僕のライトホワイトはステンレス製である。一応、申し訳なさそうにタンクパッドが付属している。体躯の問題もあるが(僕は165cmのチビ助です),これだけボリューミーだとタンクバックはつけられそうもない(もともと給油の際に邪魔だと思うのでつけるつもりはないのだが)。

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ロードスターの『R』がイカしている(死語)。しかもこれ、ライトホワイト色だけの特典であったりするのだ。

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サイレンサーの留め金部分も精度が高そうである。こういったツメをチャンとするのがドイツ人気質なのだろうか。いずれテルミニョーニのサイレンサーに替えたいところだが,まだお金が貯まらない。20諭吉はほど遠い。

と浮気心があるものの,純正でも不足はなく,満足感は高い。しばらく乗ってきてみて、その音質も耳に残り,心地よい。無理をして買うのであれば,パニラを買った方が有効な使い道のような気がしてきている。

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●R1200R(2015) 走行インプレッション

パワフルではあるが,ユーザーフレンドリーでイージー

最初に乗ったときから変わらない印象は,排気量相応のどっしりとした感じとは裏腹に「ライト」で「イージー」だなということだ。それは,最高出力125PS,最大トルク125Nmを発生させる排気量 1,169cc の空水冷水平対向2気筒エンジンを搭載しているという,常人にはとても扱いきれない絶対的な出力にもよるが,僕が感じたものは,エンジン回転のピックアップが俊敏で,アクセルをあけるとストレスなく吹け上がる一方で,初心者にとって難しい低速時におけるアクセルワークについて,多少がさつな操作を行っても許容してくれるんだなというフレンドリーさだ。なにしろバイク歴が浅いため,日々,バイクの加速感に感動しつつも,恐怖を覚えることもしばしばなのだが,特に,このロードスターはどこまでも突き抜けていこうとするスピード感で、体が置いていかれそうなくらいなのに(ワープという体験とは,まさにこのようなことを言うのであろう),乗り手をつい油断させてしまいそうな乗り心地の良さと滑らかさが同居しているのだ。

新型 R 1200 Rについて語るとき,とかくBMW伝統のテレレバーから一般的なテレスコピック式倒立フォークになったことがクローズアップされがちなのだが,僕が思うのは,誰でも臆することなく扱える素性の良さ,それは今日の電子制御はここまで来ているのですよという技術・味付けの素晴らしさなのではないかということだ。

このあたり語弊があるかもしれない。大型免許を取ってすぐの小童が,いや,なにより二輪の免許歴が1年そこらの奴に扱いきれるわけがないし,偉そうに語るんじゃない。そういったお叱りを受けることはごもっともである。おっしゃるとおり,ロードスターの能力を十分に扱いこなすことは難しい。たとえ,白バイ隊員よろしく職業的に練習をじゃんじゃんやれる環境を得たとしても到底無理だと思う。

けれでも,と思う。

僕がディーラーで初めて試乗させてもらったとき,リッターバイクというモンスターを扱えるのかと,かなりドキドキした覚えがあるのだが,ほんの数メートル走り出しただけで,その心配は杞憂に終わったのだ。とてもライダーにフレンドリーなバイクだなと感じたのである。

この点,ブルターレやモンスターは,官能的であって,五感あるいは六感にビンビンに訴えてくるものがある一方で,非常にナーバスにならざるを得なかった。どういった感覚と言ったらよいだろう。僕がバイクさまさまに気を遣わなければ,バイク用に自分が矯正しなければという意識が常にあったのだ。それに比べてロードスターの親近感と言ったら・・・。

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(ほんとうにこのDOHCなのか?と疑いたくなるほど,コンパクトなシリンダーケースなのである)

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(テレレバーの廃止に伴い,Aアームが姿を消し,かわりに巨大なラジエーターが鎮座することになった。コアガードが必要かと思うかもしれないが,フロントフェンダーがかなりの仕事をしてくれており,綺麗な状態だ)

 

自分に合った走りの選択を・・・

エンジンの出力特性やトラクションコントロールの介入度合いを変えることができる,ライディングモード Pro を装備しており,『レイン』『ロード』『ダイナミック』『ユーザー(カスタマイズ可能)』のセッティングから選択することができる。僕はドライな状況下でおいても『レイン』での走行しておらず,僕のような違いのわからないライダーには,それでも十分ではないかと思っている。

もちろん,いつかは『ダイナミック』で峠を攻めてみたいとも思わないことはないが,今のところ,特に『レイン』で困ることはないし,つまらないと思うこともないのだ。オーナーズマニュアルによると,『ダイナミック』にするとトラクションコントロールの介入度が低減されるため,ウィリー走行がいとも簡単にできると紹介されているのが,面白いと思った。まるでマニュアルでウィリー走行を推奨しているかのようである。

 

バイクの足とは,かくも素晴らしいものだったのか

ダイナミック ESAは素晴らしい機能だと思う。これは S 1000 R や 2015年の S 1000 RR に装備されている DDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール=電子制御セミアクティブサスペンション)と同様、路面状態,加減速,リーン・アングル・センサー,DTC(ダイナミック・トラクションコントロール),ABS などの情報から、状況を判断して電子的に減衰調整を行うという優れものなのだが,素人ながらも路面状況にここまで追従してくれるものなのかと感動すら覚えるほどだ。

『ロード』と『ダイナミック』のダンパーセットにそれぞれ『一人乗り』『一人乗り+荷物』『ニ人乗り』のプリロード変更が可能だ。荷重やドライブモードにより選択するのだが,オンオフのデジタルなセッティングなのかと思いきや,自動で減衰力を常に変化させてくれているのだという。1日数時間というツーリングを何回か経験しているが,長時間乗っていて,お尻が痛くなるという経験は今のところない。

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足つき性がよければ何でも解決されるわけではない

シート高は標準で760mm。本国では790mmであるのに, 極端に日本人よりにしたこの設定には賛否両論があるようだ。跨ってみると、大柄な風体に似合わず,たしかに足つき性だけはビックリするほどよい。シート高の低さもあるのだが,シートそのものが,脇が絞ってあるからか,シート高以上に低くなっている。一見すると,しごく一般的な日本人体型でチビ助である僕からすると恩恵を大いに受けられるようにも思えるのだが,やはりゲルマン人用に作られたバイクであり,ハンドルバーとシートまでの空間(あえて「距離」とは言わず,「空間」としたのは,立体的に捉えるべきだからだ)やペダル・ステップ位置は日本人仕様とまではいかないようだ。

このあたりは,このバイク問わず,個々の体格に合わせてセッティングしてもらうようなサービスがあってしかるべきだと思うのだが。

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(シートは固すぎず,柔らかすぎずといった薄っぺらい表現でしかお伝えできないのを御了解いただきたい。表皮の質感はかなりよい。高級感とは言わないまでも,満足感が高い)

オートマ的ではあるが,オートマではない

クラッチレスでシフトアップダウンというギアチェンジができるとのふれ込みである『ギアシフト・アシスタント Pro』。なにしろ,BMWによれば,これにより従来に比べてクラッチ操作を行う動作が70パーセントも軽減されるという。油圧式になったとはいえ,やはり手が小さく,握力もそれほど自信がない僕としては左手の労働が少なくなればそれに越したことはないし,特にロングツーリングするときには大変助かりものだ。

正直に言おう。

もしも『ギアシフト・アシスタント Pro』の恩恵が,メーカーが謳っているような動作回数軽減だけにあるのであれば,このオプションにメリットはさほど感じられないのだ。実感としてはメーカーが言うような劇的な動作回数軽減があるとは感じられない。また,シフトアップに限っては,これは使い勝手が悪い,というか,洗練されてないなと感じている。

まず,1速から2速は間にニュートラルが挟まるから使わないし,2速以降も回転数をそれなりに上げていたとしても,スムーズなシフトアップとはいかないのだ。もともとシンクロを持たないバイクのドッグミッションゆえにそもそもギアをつないでいくためにはそれ相応のショックがあるものだが,それにしてもそのショックは相当のものだ。それなら手動でおこなった方がよほど良い。

だけれども,そういったネガティブ要素があっても僕はこのオプションに何とも言えない魅力を感じている。この『ギアシフト・アシスタント Pro』の真骨頂は,シフトダウンにこそあるのだと思う。ブリッピングを自動で行い,回転数を合わせたシフトダウンを行ってくれ,しかも「バウン,バウン」と押し出された排ガスがその気にさせる。これが左足の軽い踏み込みだけで行ってくれるのだから,素晴らしいの一言。惜しむらくは,峠道で4→3→2とやりたいところだが,日本の法定速度域ではそのようなシチュエーションがないことである。ので,高速道路の料金所における加減速時に,雰囲気を味わっているだけだ。

とはいえ,ちょっとしたレーシー気分を味わえるのでお気に入りだ。

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必要十分な燃費

燃費は,一概には言えないものの,街乗りで16〜18km,高速の利用頻度が高ければ20〜23kmくらいであろうか。フューエル容量は18L,リザーブが4Lである。マルチファンクションディスプレイには航続可能距離が表示される(『RANGE』と表示される)のだが、概ね90km程度でフューエル警告灯が点灯する。用意周到というか,ビビりな僕は警告灯が点灯毎に給油しているのだが,フィラーネックの上端まで給油すると14Lなので,なかなかオンボードコンピューターも信頼できるヤツである。

平均すれば航続距離は300km程度であるから,ツーリング主体で考えるとまずまずだろうか。リッターバイクということと,126hpを叩き出すハイスペックを考えると,十分すぎる燃費ではないだろうか。

燃費がよいのは,これまでの僕の使い方が,1000kmを超えても3500rpm〜5000rpmを常用域としているからだろうが,これ以上の領域は怖くて迂闊に踏み入れないのが正直なところだ。

 

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